2024/04/04

おカネの壁

 カネ勘定で値踏みされる世界からの逃避場所として Cafe & Library を作るのに、そこでおカネを取ることを、自分の中でどう説明するのか。おカネを取れば、「いらっしゃいませ」と声を掛けるところからすべてが商行為ですから、そのお客さんからいくらおカネが取れるかということがすべての行動の基準になってしまいます。常に愛想よく振る舞い、けっしてお客さんに不愉快な思いをさせない。そんな行動が求められます。そういうことが嫌で Cafe & Library を作っているのに… そういうところから逃避したい人に来てほしいのに…。

 おカネを取れば、それを惜しんで来ない人もいます。カネ勘定と他人の評価で息苦しい思いをしている人の役に立ちたいのに、おカネが障壁になってしまう。

 でも待てよ。

 自分がやりたいことは、カネ勘定と他人の評価で息苦しい思いをしている人にそっと寄り添ってあげるとか、そっと背中を押してあげるとか、そういうことであって、誰彼構わず来店者を増やして、別に息苦しさを感じていない人に、このブログに書き綴っているような話を聞かせて息苦しい思いにさせることではありません。つまり、Cafe & Library に来てほしいターゲットは、最初に絞り込まれているのです。

 もしおカネを取らない施設なら、誰彼構わずやってきます。それは、本当にこの Cafe & Library を必要としている人にとっては、あまり歓迎されることではありません。おカネを取れば、本当にここに来たい人だけが来る。それによって、この Cafe & Library のコンセプトを理解して、それに共感できる人だけの世界が作れるかもしれません。

 以前に紹介したお気に入りのカフェは、価格設定は高めです。わざわざ他店よりも高いおカネを払ってでもその店に来たい人だけが行く。その店の価値を知っている人だけが行くのです。そう考えると、この店の場合は、おカネの壁が高いことが、そのお店の価値を高めていると言えます。

 これも以前の記事で紹介した彼岸の図書館は確かに無料ですが、交通の便がとても不便なところにあります。交通費だけでも、コーヒー1杯分では行けません。時間はかかる。交通費はかかる。それでコーヒーの1杯も出ないのですから、カネ勘定でその価値を測ろうという人には価値を見出すことはできない。やはり、その彼岸の図書館の価値を知っていて、わざわざそこまで行こうという人しか行きません。それと同じことを交通の便が良い町でやれば、誰彼なくやって来ることになりますから、思うような空間にすることは難しくなります。

 おカネの壁は、Cafe & Library のコンセプトに共感し、それを求めてやってくる人を拒む壁ではなく、Cafe & Library を必要としていない人に来場を思いとどまっていただくための壁。その壁のおかげで、たとえ短い時間であっても、世間から隔てられたユートピアがそこに出来るのかもしれません。

 そのことに確信を持っていれば、読書カフェと私設図書館のコンセプトは、矛盾せずにひとつの空間に溶けあえるのではないかと思います。おカネ欲しさに来場者に媚びたり迎合したりしないこと。価値が分からない人には、無理に価値を説明するのではなく、価値が分かってから来ていただくようにすること。そういうところがブレなければ、おカネを取ったからそれは商行為だ、とも言いきれませんし、それで Cafe & Library が市場経済に呑み込まれてしまう訳でもない。私の考え方次第なんです。


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