30年前の話ですが、私は転職していまの会社に勤めるようになりました。前の会社を辞めた理由は、上司が左遷されてきたからです。もちろん辞令に「左遷」と書かれているわけではないのですが、本人が自分は左遷されたと思っていて、それにたいする不満を私たちの前で態度に表すのです。失礼にも程がある。
こんな事情で以前に勤めていた会社を飛び出して、いま勤めている会社に飛び込んできました。いまの会社で何度か人事異動を経験しましたが、前の会社でこんな経験をしていますから、これまで一度も自分が左遷されたと思ったことはありません。どの職場に行っても、その職場でいちばん仕事に対して情熱を持っている人と同じぐらいの情熱を仕事に注いできました。そうやって30年間勤めてきた最後の職場は、残念ながら左遷先でした。
いまの職場では、非正規雇用の人が次々に辞めていきます。そのたびに「補充」人事が行われます。私や、私といっしょに厳しい勤務を乗り越えて退職していった正社員はマイノリティで、他の正社員による非正規雇用の人の扱いはとても粗雑です。この間、私は、4月に着任された新しい非正規雇用の人に仕事をしてもらうのに、タイトな説明資料を用意して膝詰めで説明をしたり、毎日やらなければいけない仕事であれば、数日いっしょにやることで、自分が退職したあともその仕事が継続的にできるようにしてきました。しかし、他の正社員は、ある人はだらだらとミーティングをするばかり、ある人はそれすらもなく、周りにいる非正規雇用の人に説明を委ねていて、自分はその内容について一切関知していない、という有様です。つまり、非正規雇用の人を手塩にかけて育てていない。だから、着任から数か月でその人がこの職場に見切りをつけて退職していっても、何も惜しくないのです。だから「補充人事」などということを平気で口にする。せめて「後任の人の採用」と言えないものか。
非正規雇用の人の採用は、直接雇用であっても派遣であっても、人材派遣会社に頼っています。直接雇用の場合でも、紹介予定派遣という制度を使って、人材派遣会社を通じて募集を行っているのです。いま、どこでも人手不足と言われている中で、会社のニーズと働きたい人のニーズをマッチングさせるのはたいへんなことだと思います。そうやって苦労してマッチングした人が数か月で辞めていく。辞めていった人に問題があったわけではないのです。けれど、うちの会社からは「すぐ辞めるような人をマッチングした」などとクレームを言われ、「こんどはちゃんとした人を」などといわれる。私が人材派遣会社の社員なら、たとえ綺羅星のような人が応募してきたとしても、こんな会社とはマッチングせずに他の会社に紹介すると思います。
正社員の人事についても、事情は同じだと思うのです。自分に人事権があるとして、前の正社員が中途退職したり病気休職したりしているところに、将来を嘱望される人材を回すでしょうか。むしろ、辞めても惜しくないような人材の左遷先として位置付けるのが落ちではないかと思うのです。自分もそうやって異動してきた。定年退職まであと2年半というところで、これまで何の経験もつながりもない部署に異動させられるというのは、それだけで限りなく左遷人事に近いと考えていいはずです。そこを、そうは考えずに、仕事に情熱を注いできたことが間違いだったのかもしれません。
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