2024/12/30

ヴァリューアップとソリューション

 今日も通信教育をやりながら考えたことを徒然に書き連ねます。

 商工会議所の創業セミナーでのお話しと同様に、この通信教育でも、お店のコンセプトを文書化して明確にすることが求められています。お店に来る「お客様」は、その店に向かう段階で、何かその店についてのイメージと期待を持っているはずです。そうでなければ店に足は向きません。そうしたイメージを定着させることができなければお客さんは来ない。だから、お店の方から「こういうお店です」というコンセプトを簡潔な言葉で明確に示す必要がある、というのです。

 通信教育のテキストによると、このコンセプトを打ち出す方法には2通りあるというのです。

 ひとつが「ヴァリューアップ法」。参考となる既存の店や既存の事例に付加価値をプラスして、より価値の高いお店をつくるという発想です。例えば「本の庵」であれば、スターバックスの「サード・プレイス」という考え方に「脱・コミュニケーション」という価値を付加する、とか、インターネットカフェに本が持っている知的なイメージを付加する、といったコンセプトの作り方です。

 もうひとつが「ソリューション法」。お客さんのニーズというのは、既存の店では満たされない何らかの不満・不足・不安があって、それを解決するところに商機がある、という発想です。「本の庵」の場合、本当はこっちがメインなのだろうと思います。「本の庵」が解決したいのは、社会的な閉塞感だとか、人間が人間として扱われないことによる疎外感だとか、そういった問題です。けれど、これは共感を得るのはかなりハードルの高いテーマです。そういう閉塞感や疎外感は、誰もが感じているかもしれないのですが、正面切ってそれを話題にすることは普段はありません。どちらかというと避けておきたい話題に属するようにも思います。プロモーション戦略としては、そこはいったん引っ込めて、「ひとりになることで自分を取りもどす時間」といったコンセプトで関心を持ってもらい、何度か通ううちに、自分の周りにある閉塞感や疎外感、息苦しさや生き辛さに気付いて、「本の庵」がそういった問題を解決する場所だと気付いてもらう。そうしないと、私の価値観の押し付けになってしまうと思うのです。多少遠回りかも知れませんが、私から明確にコンセプトを示すのではなく、利用される方の「気付き」を待つしか「本の庵」のコンセプトに対する共感は得られない。けれど、こうしてコンセプトを理解してくださった方は、「本の庵」のコアな利用者になってくださると思うのです。その人が月に何回「本の庵」を利用してくださるかなんてことは大きな問題ではありません。もちろん経営的には大きな問題なのですが、そんなことよりも、ヴァリューアップ法で提示されるコンセプトの影に隠れた本当の創立意図をどれだけ深く理解してくださるのか、そこに「本の庵」の存在意義があると思うのです。



2024/12/29

尖れ

 会社が年末・年始の休みになり、家の掃除や近所の溝に溜まった落ち葉の掃除なんかをしつつ、しばらく出来ていな通信教育の課題に取り組んでいます。「カフェ講座」と銘打って、前半はコーヒーの種類や美味しい淹れ方について、後半は店のプロモーションや開業までの手続きについて学ぶコースで、夏休みに前半をクリアしたのですが、そのあとがなかなか時間が取れないまま数か月が過ぎてしまいました。

 こういう通信教育ですから当然なのですが、いかにすれば商業的に成功するかを知ることが最終的な獲得目標です。商業的な成功というのはゴールがありません。お店がそこそこ知れ渡り、毎日多くの来店客が来るようになったからといって、それがゴールではなく、そしたらアルバイトを雇ってもっと回転率を上げるとか、客単価を上げるためにメニューのグレードを上げるとか、その店舗だけで売り上げがそれ以上は伸びないことが分かったら2店舗目を出すとか、なにか終わりのないロールプレイングゲームのようです。このゲームには4種類のキャラクターがいるそうです。

  • 業界ナンバーワンの「リーダー」:差異化しようとする2位以下を取り込んで同質化しシェアを守る。
  • ナンバー2グループの「チャレンジャー」:リーダーの同質化圧力に抗って差別化を図り、市場シェアを獲得する。
  • これに追随する「フォロアー」:模倣によって利潤を獲得しようとする。
  • 専門性の高い隙間を狙う「ニッチャー」:特定の分野に集中して、その分野での名声と利潤を獲得しようとする。

 キーになる考え方は「差別化」。トップブランドと何が違うのか、何がすぐれているのかを打ち出して、それが消費者に受け入れられる水準まで進めていくことが大切なんだそうです。それは、コーヒーという商品の味や提供の仕方だけではなく、消費者の共感や納得感から消費行動を生起させる広告の出し方といったところも大切だというのです。

 このキャラクターでいうと、「本の庵」は差し詰め「ニッチャー」ということになるでしょう。尖った戦略で徹底的に差別化していかないとフォロアーに紛れてしまい、競争に巻き込まれてしまいます。トップブランドと何が違うのか。そこをしっかり出していかなければいけません。カフェの世界でいうトップブランドとは、例えばスターバックスのようなところでしょうか。私も時々利用しますが、最近は「ご利用は2時間までにしてください」などという注意書きがあったりして、あまり長居することは歓迎しないという意思をはっきりと出しておられます。私はたいていひとりで利用しますが、周りを見ていると、何人かでやってきて楽しくお喋りをしている人もたくさんいます。こういうところは「本の庵」と決定的に違うと思うのです。「本の庵」はお喋りお断り。ひとりで来てください。シートチャージはいただきますが、コーヒー1杯で何時間いていただいても結構です。というコンセプトです。徹底してひとりになる場所なんです。

 ひとりになる場所と言えば、ネットカフェやパチンコ屋もそういう場所かもしれません、という話を以前の記事でしましたが、「本の庵」には本があります。私が読んだ本ですから、そんな難しい本ではありませんが、パチンコをしているときよりは、これらの本を読むときの方が知的なイメージがあります。この知的なイメージをどれだけ伝えられるか。そこが広告の出し方などプロモーションの差別化ということになるのだと思います。例えばホームーページで本の紹介をする。そんなウィットに富んだ気の利く文書が書けるわけでもありませんが、そんなところから知的なイメージを醸し出すのも必要かもしれません。

 戦略の要は、とにかく「尖る」ことだと思うのです。通信教育をやりながらこんなことを言うのは変ですが、そこに書かれている「成功の秘訣」みたいなものをなぞって、みんなと同じようなカフェを作ったのでは、競争に埋もれてしまいます。そもそもカフェをやりたいのではなく、私設図書館をやりたいのであって、そこにより来訪しやすくする仕組みとしてカフェの機能を併せ持った私設図書館にしよう、というのが出発点です。そんなことを考えている人は、日本中を探してもそれほど多くはいません。それだけで十分に尖っているじゃないですか。その尖っているところを出す。それがこの通信教育の課題の答えかも知れません。



2024/12/05

競合調査

 商工会議所のセミナーで入手した「創業計画書」の書式を使って、自分がやろうとしていることを客観的に分析しています。今日は「競合調査」について。

 商店街の中に作るわけではないので、競合調査など必要ではないようにも思えるのですが、通りすがりに寄るところではなく、わざわざ遠くからここに関心を持って来てもらうというコンセプトなので、電車で1時間ぐらいの範囲によく似た施設があれば、それは全部「競合施設」ということになります。ただ、競合施設と「客を奪い合う」という関係ではなく、競合施設があることによって、むしろ、こういう施設があるのだということに関心が向けられるのかも知れません。例えば、公共図書館が拡充され、従前のような貸出中心主義の運営から、滞在型への転換が図られることは、私が作ろうとしている私設図書館の役割が公共図書館で代替されることになるという意味ではマイナスです。しかし、本や図書館に対する関心が高まり理解が深まるという意味ではプラスにも作用します。近隣に大型書店が出店され、カフェが併設されるというようなことを考えたときも同じです。

 それでは、すぐ近くに私の Cafe & Library と同じような読書カフェが開店したらどうでしょう。ここと同じように、館長が選書した数百冊から千数百冊の本があって、静かに本が読めて、自分だけが知っている隠れ家的な魅力があって、知的なイメージがある。資本力も経験も知名度もないけれど、館長の思想がそこはかとなく現れていて、そこに惹かれて人が集まってくるようなところ。これもプラスとマイナスの両方があると思いますが、直感的には圧倒的にプラスの方が大きいように思います。雰囲気は似ていても、並べられている本は同じではありません。そこには館長の思想が色濃く反映していますから、隣のコーヒーがちょっと安いからとか、サンドウィッチがちょっと美味しいからといって、お客さんを奪われるとは思いにくい。むしろ、それぞれが相手を自分のところの「分館」みたいに思っていれば、本の選択肢も増えることになりますし、相乗効果でそこに来る人が増えていくのではないかと思うのです。

 読書カフェではなく普通のカフェだったら。これはもう有難い話で、こちらはお喋りが出来ないところなので、カップルやグループで来られた場合は、すぐそちらの店を案内することができます。それだけ、このお店の「純度」を高めることができ、それがお店の魅力になっていくと思うのです。

 では、スターバックスのような大手のカフェが近くにできたらどうなるでしょう。公開されている情報から推測すると、1店舗当たりの年商は1億2千万円ほど、1日500人の来店者がいて、客単価は650円ぐらい。資本力と知名度があり、誰もが使っているという安心感とハイソサエティなイメージを持っているこうしたチェーン店が来ると、個人で細々とやっているところはひとたまりもありません。

 あるいは、快活クラブのようなネットカフェがやってきたら。こちらも資金は潤沢で知名度もあります。ひとりになれる場所、という意味では Cafe & Library と共通するところもあります。ただ知的なイメージはあまりないかもしれません。ひとりになれる場所、という意味では、パチンコ屋さんも競合施設かも知れません。あまりやったことがないのでイメージでしかありませんが、パチンコをやっているときって、あの喧騒の中で自分の殻に閉じこもり、周りとのコミュニケーションを断っている状態じゃないかと思うのです。読書カフェとは対極的な場所なのですが、あるいは共通点もあるのかも知れません。

 資金力のあるところは、店の規模も大きいですし、作りもしっかりしているうえに、価格も安めに設定できます。しかし、そこには「こんな店を作りたい」という思いが見えない。そこが、私のような個人でもこんな大資本に伍していける分野ではないかと思うのです。他のところにはない尖ったところをどれだけ出せるかがポイントなのかもしれません。他のお店よりも美味しいコーヒーを出すとか、他のお店よりもお洒落な雰囲気を作るとか、そんなふうに他のお店と比べてどうかという基準でしか語れないのなら、こんなことをやる意味はないのかも知れません。他の誰もがやっていないことをする。そこをどれだけアピールできるのか。

 「創業計画書」から大きな課題が見えてきました。

本質的な提供価値

 今日は、商工会議所のセミナーで配られたタイトな「創業計画書」書式を埋めていく中で考えたことを、つれづれに書いていきます。

 まず、この Cafe & Library の本質的な提供価値と、ほかにない新しさについてです。

 本質的な提供価値を書く欄には「何屋?」という注釈があります。何を問われているのかを考えるにあたって、マクドナルドを例に考えてみます。マクドナルドが提供している価値の本質は何でしょう。美味しいハンバーガーでしょうか。たぶんそうではないと思うのです。マクドナルドがターゲットとしているのは、おそらく小さな子供でしょう。ハンバーガーに付いてくるちょっとした玩具を目当てに来る子供もたぶんいると思います。そう考えると、マクドナルドが提供している本質的な価値は、子供を喜ばすこと。子供にとって楽しい空間を作り、子供が喜ぶような飲食物を提供する。ここが本質だと思うのです。

 そうだとすると、私がやろうとしている Cafe & Library は何なのか。「図書館」なのか「カフェ」なのか。美味しいコーヒーを提供するのが本質なのか、珍しい本を読めることが本質なのか。どちらも違うと思うのです。

 この Cafe & Library の新奇性は、「意図的にコミュニケーションを避けることによって、現代社会が求める過度なコミュニケーションからの解放を目指しているところ」だと思うのです。現代社会では、なかなかひとりにはなれません。ひとりになったつもりでも、情報が一方的に次々と自分に向かって流れ込んできます。良質なコミュニケーションや良質な情報は、人間が人間として生きていくうえでどうしても必要なものですが、過度なコミュニケーションや情報は、ときに息苦しさ・生き辛さの原因となってしまいます。そこから解放される場所、というのがこの Cafe & Library の本質だと思うのです。会社帰りのサラリーマン、休日のOL、過度なコミュニケーションに疲れた学生が、ひとりでいられる時間と空間を求めてやってくる。「今日は会社で嫌なことがあった」という日にここに立ち寄って、少しでも自分を取りもどしてから帰宅する。それが、ここで提供しようとしている価値の本質のように思うのです。

 そうだとすると、これまで考えていたよりも少し遅い時間まで営業した方がいいのかもしれません。お酒を出すと静かな環境が維持できませんので、お酒は出しません。ただ、その時間にカフェインを摂ることに抵抗を感じる人もいるかもしれません。ハーブティの勉強をして、そういうメニューを追加した方がいいのかもしれない、などということを考えたりします。

 お酒を飲んで愚痴を聞いてほしい方は、同僚を誘って居酒屋に行けばいい。会社とは無関係な趣味のコミュニティに逃げ込める人は、それもいいと思います。でも、そういったコミュニケーションが重荷になっている人も少なくはないでしょう。そして、その中でも、自分自身の閉塞感を現代社会の矛盾と結び付けて克服していこうという知的な指向を持った人たちであれば、きっとこの Cafe & Library の本質的な価値を分かっていただけるのではないかと思うのです。

 では、その価値をどのように伝えていくのか。過度なコミュニケーションや情報を負担に感じている人たちに、あるいは、そこから逃れることによって自分を取りもどしていきたいと思っている人に、この Cafe & Library が提供しようとしている本質的な価値を伝えていくにはどうすればいいか。言葉にして書いてしまえば、ホームページを軸にして、SNSなども活用した広報戦略を考えるということなのですが、そこで、私自身が「触媒」の役割を十分に果たしていかないと、伝わるものも伝わらないのではないかと思うのです。

 「創業計画書」の話は明日も続けます。


2024/12/04

創業セミナー

 会社を1時間ほど早めに早退して、商工会議所の創業セミナーを受講することにしました。1回きりの無料セミナーなので、そんなに気負うことはないのですが、結構たくさんの受講者がおられました。飲食店ばかりではなく、それぞれいろいろな思いを持って事業を始めたいと思っておられるようです。

 このセミナーは受講してよかったと思います。学生向けの就職セミナーのようなものです。学生の中にもいろんな人がいますが、多くの学生は、いまの大学に入学するために何か特別なことをしているわけではありません。教えられた勉強をやって、入学試験を受けて、合格したら所定の手続きをする。そのプロセスで「何からやったらいいかわからない」というような場面はあまりないように思います。みんなと同じように、ただ、他のみんなよりは真剣により多くの努力をしていれば道が拓ける。そういう道を歩んできた学生が、これから就職活動をしましょう、というときに初めて「何からすればいいのか分からない」という場面に直面します。いまから思えば、大学でガイダンスもあるし、就職部の職員がいろいろサポートしてくれて、いまなら就活サイトに登録して、そしたらいろんな情報が入ってきて、周りの人と同じようにやっていれば、大きく道を外れることはないと分かっているのですが、当事者にとっては初めてのことで分からないことだらけ。それはいまの私も同じことです。あとから思えば何でもないことと思うかもしれませんが、本当に「何からやったらいいのか分からない」という状態なのです。そういう中で、こうして創業までの道筋を指し示してくれるセミナーのなんと有難いことか。

 セミナーでは、心構えから具体的な資金計画の立て方まで、2時間半にわたってお話を聞くのですが、創業までにやるべきことを列挙した To Do リストのようなものも配られて、これがまた参考になりました。その中に「商品とサービスのウリを言語化する(なぜ、お客様があなたを選ぶのか)」というチェック項目があるのですが、これはまさに、ウェブ相談で「そのカフェの何がいいんですか」と言われたことそのまま。

 そのほか、全11ページにもなる「創業計画書」の書式も提示されたのですが、これはまるで就職活動のときに書くエントリーシートのようなもの。屋号や業種などの創業概要、創業者のプロフィール、具体的な事業内容、市場調査、競合調査、販売計画、人員計画、資金計画、収支計画を、かなり細かく書く書式になっています。これまでこのブログにいろいろ書いていくうちに、かなり煮詰まっているように思っていたのですが、いざこうして書こうとすると、簡単には書けない項目がいくつもあります。例えば、創業概要のうちの「創業の目的」「将来の目標」「創業の動機(諦めない理由)」などは、他人が読んで納得するかどうかは別として、自分としてはきちんと書けていると思うのです。しかし、創業者のプロフィールを書くところでは、「過去の事業経験」「事業に必要な技術・ノウハウ・スキル」などが問われます。事業内容を書く際は、その事業の本質的な価値は何かや、他にない新しさは何かといった項目が設けられています。市場調査を書くところには、例えば少子高齢化の深刻化といった社会の変化がこの事業にどんな影響を与えるのかを説明することが求められていて、競合調査の欄では、具体的な競合店や競合する業種と比べて、商品・サービスの特徴、価格、品質、コスト、納期・スピード、資金力などの強みと弱みを分析するようになっていて、販売計画、資金計画、収支計画も、かなり具体的に書くことを求められています。

 この事業計画書を書くことによって、自分になりが足りないのかが具体的に分かってきます。明日以降の記事で、事業計画書を書きながら考えたことを、つれづれに書いていこうと思います。


2024/12/03

そのカフェの何がいいんですか

 Cafe & Library 構想を実現するために、何か公的な支援プログラムがないか。そんな情報を求めて商工会議所のウェブ相談を申し込みました。ネットの向こうにおられるご担当者は40歳前後と思しき男性。まずはどういうことをやりたいのかを説明する。あらかじめどんな説明をしようかと、頭の中で考えていたとおりに話す。学生の就職活動もこんな感じなのかもしれません。

 儲けることに固執したくない。だから月々の固定費を抑えたい。だけど自己資金が潤沢なわけではない。「おひとりさま」相手に長居をしてもらう店なので、駐車場を用意するのは間尺に合わない。だから駅近がいい。だけど、通りすがりの人に入ってもらうというよりも、何かでこの店のことを知ってわざわざ遠くから来るような人をターゲットにしたいから、駅前の商店街というより住宅地の中のようなところがいい。どうやってそんな物件を探せばいいですか。

 まず「空き家バンク」のような公的な支援を受けられるかについては、知る限りでは「ない」とのこと。会員の中から不動産屋さんを紹介してもらえないかとお願いすると、「こうやって探したらいいんですよ」と探し方をご教示いただく。言われた通りに探すと、自宅の近くで個人でされている小さな不動産屋さんが見つかる。この不動産屋さんにはこのあとものすごくお世話になるのですが、あるいはそれを見つけさせることを意図されていたのではないかと思うぐらい、絶妙な相性の不動産屋さんでした。

 相談全体を通じて、ご担当の方はとても親身になって相談に応じてくださいましたが、脇の甘いところは容赦なく攻めてこられました。「その構想いいじゃないですか」なんてことは一言も仰いません。
忖度なし
タイトルにあるような「そのカフェの何がいいんですか」などという厳しい質問もされたりします。つまり「お客さん」は何が良くてその店に行くのか。それが説明できなければ自己満足にしかなりません。いろいろ説明してみるのですが、果たして分かってもらえたのかどうか。

 儲けることに固執しない、という考えに対しても批判的な様子。それはお立場上そうかもしれません。商工会議所の会員さんは趣味でお店をされているのではなく、どなたも生活と人生を賭けて取り組んでおられる。そこに新参者が「儲けなくてもいい」などと寝言のようなことをいって参入してくるのは、その人たちに失礼といえば失礼なことかもしれません。「何とか1日1万円」などという小さな目標じゃなくて、これで家賃も生活費も稼いでいくぐらいの覚悟があるのかを問うってこられます。

 不動産屋さんのことについても、大手のところでは相手にしてもらえないかカモにされるだけ、などと手厳しいのですが、それでも、結果的には自宅近くで個人でされている方とご縁を繋いでくださいました。

 厳しい指摘を受けて、自分の考えの甘いところも明らかになったのですが、最後には、商工会議所が主催される「創業セミナー」のご案内をいただきました。少し軌道修正しないといけないのかなとか、そんなことも思いつつ、それでも変えてはいけない根幹の部分は何なのかとか、そもそも自分がやりたいことは何なのかとか、そんなことをより真剣に考えるきっかけになったとウェブ相談でした。

 あしたは創業セミナーのお話しです。


2024/12/02

商工会議所に相談する

 しばらく更新が出来ていなかったのですが、その間に Cafe & Library 構想がずいぶん具体化してきました。具体化したからこそあまり詳しく書けなかったのですが、開館までのプロセスを記録するつもりで、ここまでの経緯をまとめておこうと思います。同じようなことをしようとしておられる方は、何か参考になるかもしれないと思って読まれるかもしれませんが、真似なさらないことをお勧めします。金銭的に成功する話ではありませんので。

 Cafe & Library 構想を具体化するにあたって、これまでは「店」のコンセプトをあれやこれやと考えてきました。これからカフェを開業する人向けの実用書などを読めば、どの本にも「創業動機」をしっかり文書化することが大切だと書いてあります。けれど、コンセプトがしっかりしているからといって開業できるわけではありません。少々飛躍した言い方ですが、創業動機なんて何もなくても、場所があっておカネさえあれば開業は出来ます。ただ、それでは続かないのですが。

 これまで、コンセプトについてはいろいろ考えて、自分なりに深めてきました。だから、構想を実現すれば、そこそこ続けられるかもしれません。けれど、最初に実現するためには場所とおカネが必要です。おカネはけっして潤沢にはありませんが、そこそこに退職金は入ってきます。ただ、妻のために老後資金は残しておかないといけませんので、初期投資はそこそこに抑えたい。どこか物件を借りれば初期費用は抑えられますが、月々の支払いが追いかけてきますから、ある程度の売り上げを上げないといけない。けれど、カフェを作りたいのではなくて、作りたいのは私設図書館。カフェはおまけなので、あまり儲かるとは思えません。

 それで目を付けたのは、最近、社会問題になっている「空き家」。少子化が進み、身寄りのない独居老人が増え、そういう方が亡くなった後の家を相続する方もなく、放置されてしまうことが問題になっています。そういうのを安価で手に入れてリノベーションし、そこで Cafe & Library をやろう。「負動産」とまで言われて処分に困っている物件を購入して、そこを、現代社会で息苦しさや生き辛さを感じている人が自分を取りもどせるような場所にしていく。
なんて価値のあることだろう
社会問題をふたつも同時に解決していける素晴らしいアイデア。こんな社会的にも価値のある素晴らしいことをしようとしているのだから、何か公的な支援があるのではないか。そう思っていろいろ調べてみるのですが、世の中そんなには甘くありません。けっしてタダで物件を手に入れようとか、何かの補助金をもらおうとかいう訳ではありません。例えば、そういう物件の情報が公的にまとめられているとか、そういうことならあってもいいような気がするのです。調べてみると、確かに、移住してくる人に空き家を紹介する「空き家バンク」というような取り組みがあるようなのですが、それはあくまでも「移住者」向け。紛いなりにも商売をやるという人を支援してくれるような取り組みではありません。商売ではなくて図書館なんだ、といったところで、そんなことを支援するなどというような取り組みなんて、役所の誰も思いつくはずもありませんから、もちろんありません。

 そこで思い立ったのが商工会議所で情報を収集すること。知り合いに会員がいるので訊いてみると、親切に対応してくれますよとのこと。オンラインで相談もできるみたいなので申し込んでみました。

 さて、結果は如何に。