2025/04/27

物件に名前を付ける

 過労死と隣り合わせだった毎日から生還したことについては、また別の機会にお話しするかもしれませんが、しばらくは開業準備のことについて綴っていこうと思います。これがこのブログの本来の目的ですから。

 1月の末に鍵の引き渡しがあり、いよいよ物件が自分のものになりました。まだ図書館のカタチにもカフェのカタチにもなっていませんので、ここを「本の庵」と呼ぶのはまだ早いように思います。けれど、いつまでも「物件」と呼んでいる訳にも行きません。建物がある場所の旧町名に因んで「藤ノ木の家」と呼ぶことにしました。名前を付けるという行為は、その対象物を支配下に置くという重要な意味を持っています。映画「千と千尋の神隠し」で、主人公の千尋は湯婆々から「今日からお前は千だ」と勝手に名前を付けられてしまいますが、それはきっとそのことを象徴しているのだと思います。捨て犬を拾ってきた子供が母親に「ちゃんと飼うから」と許しを請い、犬の飼育に関することばかりではなく、宿題をちゃんとやるとか、家の手伝いをするとか、いろんな約束をさせられたうえで、飼ってもいいというお許しをいただくと、さっそくその犬に名前が付けられます。この場合も、名前を付けられた犬を自分の支配下に置くという意味がありますが、それはその犬に対する責任と表裏一体のものです。

 話が脇に逸れてしまいましたが、土地と建物を手に入れたということは、開業までの間もきちんと手入れをするという責任と、これで絶対に開業するぞという覚悟と表裏一体のものです。誰も住んでいない家は傷みやすいと言われます。週に1回は雨戸を開けて風を通したいもの。これからの季節は庭に雑草も生えますので草刈りもしなければいけません。手に入れたとはいうものの、まだ水も電気も止まったまま。そこで充電式の掃除機と草刈り機を持ち込み、自宅で充電した電池を持ち込んで掃除や草刈りを定期的にするようにしました。

 あと、スケッチブックや色鉛筆も持ち込みました。改装のイメージを視覚化するためです。パソコンを使って巧い具合に視覚化できればいいのですが、なかなかそういう才能に恵まれないのが悔やまれます。娘にiPadの使い方を教えてもらおうかしら、などと思いつつ、その娘が幼いころに使っていた色鉛筆を使って夢を描こうと思います。

 この藤ノ木の家のことでとても良かったのは、隣の方と向かいの方が、ここで営業の如きをすることについて、とても好意的に受け入れてくださっていることです。この家の前の持ち主は、売主さんの親族の方。隣近所の方とも馴染みだったようで、家を売るにあたってご挨拶をしてくださっていたようです。買主である私のことも好意的に伝えてくださっていて、私設図書館を作りたいんだという話も事前にしてくださっていました。隣の方は、家にある百科事典と文学全集の寄贈まで申し出てくださいました。頂けるということよりも、そうやって気に掛けてくださっていることが本当に有難いことだと思います。こうして人に恵まれると、自分のやろうとしていることは間違っていない、という自信が湧いてきます。そして、その自信もまた、絶対にやらなければという覚悟や責任と表裏一体のように思うのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿