すべての大学職員がそうではないかもしれないが、大学職員という職業の夏休みは、世間に申し訳がないほど長い。この休みを使って、カフェの開業に向けた勉強をしようと、通信教育に申し込みました。教材を送ってきて、添削課題を解き、最後に試験と称するものを受験すると、資格証が送られてくるというもの。いわゆる「資格ビジネス」というやつなのかもしれません。「商品」として考えたときには割高なサービスなのかもしれませんが、何から勉強したらいいのか分からないというときの「きっかけ」みたいに考えると、ちょうどいいかもしれません。
実は他にも「美味しいコーヒーの淹れ方」みたいな本はいくつか買っているのですが、ゆっくり読みたいと思っていると、なかなか読み始められなくて、「積読」状態になっていました。それが、通信教育のテキストを読み進めながら、その事項に関係ありそうなところだけを拾い読みするような感じで、いちおうページを開いてみるきっかけにもなりました。例えば、コーヒー豆の種類や産地について、テキストに書かれていることをノートにまとめながら、別の本にはどう書かれているのかを調べてみる。エチオピアのコーヒーについて、テキストには「栽培方法が3種類ある」というようなことが書かれているのですが、別の本には、隣国イエメンのモカ港から出荷されるのが銘柄の名前の由来になっていることや、「上品な酸味」「華やかな芳香」というようなことが書かれている。別の本には「きれいな酸味」「芳醇な香り」などと書かれている、といった具合に、文章からだけでもより立体的なイメージが湧いてくる感じがします。電車の中で読んでいるだけでは、なかなかこうはいきません。
煎り方や挽き方によって味が変わるのは知ってはいたのですが、煎っている間にどんな化学反応が起きているのかとか、それが味にどう影響するのかといったことは、本を読んで初めて知ったことでした。抽出する器具の違い、水の違い、お湯の温度、抽出する時間と味の関係、食器と味の関係、そういういろんなことが、テキストを読み進めることで、自分の中で言語化されていきます。それで実際に飲んでみると、自分の五感で感じる感覚と言葉がつながって、「美味しいコーヒーとは何か」というようなことが見えてきそうに思うのです。
ただ、最後の「美味しい」という感覚を本当に言語化できるのかというと、そこはどうなのかと思うところもあります。ある人が美味しいと思ったものが、他の人にとっても美味しいのかというと、必ずしもそうとは言えません。ある時に美味しいと思ったものを、別のときに美味しいと感じるかと言えば、それもどうだかわかりません。酸味が強い、苦味が強いといった感覚は、なんとなく言語化できるのですが、「酸味と苦味のバランスが取れた、コクの深い味わい」と言われると、果たしてそこから特定の味わいをイメージすることが出来るのか。いや、これは簡単にイメージできないからこそ、飲んでみる価値があるのかも知れませんが。
テキストは、エスプレッソコーヒーの淹れ方やラテアートなど、最近のカフェの傾向を捉えて、多くの人が関心を持って取り組めるような内容になっています。通信教育でなければ読み飛ばしてしまうのですが、資格を取得するためにはそういう知識も必要なので、そこも真面目に読んで、真面目にノートを作る。ただ、他の本と併読するようなところまでは熱心には取り組めてはいません。こういうことも、とことん取り組めば面白いと思うのですが、実際に店を構えてサービスを提供するとなると、自分一人でできる範囲を見極めないと、自分が苦しくなります。苦しんで営業しているカフェに来れば、来られる方も苦しい気持ちになってしまいますよね。そこは資格を取るための勉強と割り切って、そこそこに終わらせることにしました。
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