このブログを始めたときは、まだ開業まで2年以上ある時期だったのですが、それから10ヶ月が過ぎ、かなり具体的なカタチが見えてきつつあります。商工会議所の「創業セミナー」で、開業までにすること40項目のチェックリストを渡されたのですが、それを見ながら、目下の課題は、①開業するための物件を探すこと ②おカネの管理や確定申告をどうするか ③広告宣伝のためのホームページ作成 の3点が喫緊の課題だな、などと考えているところです。
おカネの管理に関しては「銀行口座の開設」という項目がありました。きのうの記事で「睡眠不足のリボ払い」状態だ、などと申しましたが、休めるときを選んで有給休暇を取り、銀行で口座開設をしよう。口座を開設したら、おカネのことを少し考えよう。そんな1日を作ることにしました。
おカネのことなので、あまり詳しくブログに書くわけにはいきませんが、私の給与口座は自宅からいちばん近い銀行にあります。そこには定期預金もありますが、これらはすべて家計の口座で、管理はすべて妻に牛耳られています。そこに家計とは別の口座を設ける。開業してお店をやるとなると、銀行さんにはいろいろお世話になるかもしれませんので、やはり近いところに口座があるのに越したことはありません。
ところが、事前に電話をした段階から雲行きが怪しくなります。事業用の口座を開設するならば、税務署に提出した「開業届」の写しを出してください、というのです。商工会議所のチェックリストでは「開業までにやっておくこと」として「銀行口座の開設」が書かれています。実際、開業までに諸々の準備でいろんなおカネが必要です。それらは「開業費」として「繰延資産」に計上し、開業後に償却することになるのですが、そのおカネの出入りをきちんと記録しておかないと開業費を正しく計上できません。「開業届」を出してしまったら、それ以降の経費は「開業費」としては計上できず、即時、経費として計上しなければなりません。それは絶対におかしいのですが、電話口の行員はその辺の道理を分かってはくれません。あとでその行員が言っていることが間違っていると分かったのですが、そのときは、こちらも初めてのことでよくわからないので「そうですか」というしかありませんでした。
仕方がないので、その銀行を直接訪ねて、「へそくり口座」を作りたい、と申し出ました。事業用と言ってもダメなので、家計とは別の口座を作ってほしい。まあ噓ではありません。開業届を出さないと事業用の口座が作れないのであれば、開業届を出すまでは「へそくり口座」で家計とは別におカネの出入りを管理するしかありません。対応したのは電話の対応をした行員と同じ。免許証を預かって待たされること20分弱。帰ってきた答えは、すでに普通預金の口座をお持ちなので、二つ目の口座は作れないとのこと。じゃあ何のために免許証を預かったの、と言いたくもなりますが、ダメというのだから仕方がありません。
仕方なく、2番目に近い銀行に行って、「へそくり口座」を作りたい旨を申し出ました。ここには口座はなかったはず。しかし、妻がその銀行の別の支店に私の名義の口座を作っているではありませんか。あとで分かったのですが、娘の高校の授業料の引き落としがこの銀行しか駄目だったようで、そのために作ったもののようです。
結局ここでも口座は開設できなかったのですが、1番目の銀行と違って、答えはすぐに返ってきました。「明らかに用途が違うという場合でないと作れません」と仰る。これは高校の授業料の引き落とし用で、これは自分のへそくり用、というのは「明らかに用途が違う」ということにならないそうです。「それじゃ自分が定年後にこの辺りで事業をするので、事業用に口座を開設してほしいと言ったら開設してもらえるのですか」と訊くと「そういう場合はもちろん作ります」とのこと。おや。「開業届の控えなどを見せないとダメですか」「いえ、開業なさる前から別の口座を作られるのが普通です」。
ここで1番目の銀行のヘボさ加減が分かったのですが、2番目の銀行では「へそくり口座」と言っているので、いまさら「事業用です」という訳にもいかず、結局、口座は作れませんでした。
せっかく有給休暇を取ったのに、銀行口座を開設するという目的が達成されないまま、もうひとつの目的を達成するために隣町の銀行に向かいました。そこの銀行には結婚前から口座を持っていて、まさに「へそくり口座」になっているのですが、届出の印鑑が家計用と同じで、ハンコが必要な取引をしようとするといちいち妻の了解が必要になって面倒です。その日は家計用のハンコを妻から預かっていたので、この機会に改印届を出して、妻の了解なしでおカネを動かせるようにしておきたい。本当にささやかな用事なのですが、待ち時間なし。窓口の係りの人も、流れるように書類を用意してくださって、その場で手続きが済んでいく。見ていても気持ちのいい対応です。その対応の中で、届出事項に変更がないかの確認がされるのですが、「お勤め先は変更ないですか」と訊かれたので、「いまのところ変更はありませんが、実は定年が近くて、定年後は自分で事業をするつもりです」と言ってみる。言ってみたついでに「事業用の口座をこの口座と別に作ることはできますか」と訊いてみたところ、「お作りできますよ」とのこと。
何か急に嬉しくなってきました。もう本当に暗い気持ちだったのですが、やっと自分が事業をやるということを認めてもらえたように思えました。
私が住んでいる町が田舎で閉鎖的で、新しく事業をしようなどということを良くは思ってくれていない、などという問題ではなかったと思います。1番目の銀行の行員は、おそらく以前に、事業用の口座を開設したときに「開業届」の提出があったという経験があって、「事業用=開業届」という事務手順を思い込んでいたのでしょう。見た目では分からないのですが、接客態度その他から察して、その銀行の正社員ではないように思えました。
私の勤めている大学でも、先生方や学生との対応は、たいてい、非正規雇用の職員に委ねてしまっています。あるいは私の知らないところで、この銀行の対応とよく似た対応があるのかも知れません。いえ私自身も課内体制の変更があって不慣れなことを強いられていますから、知らず知らずのうちにそういう対応をしているかもしれません。日本中がこんなことになっているとしたら、ちょっと未来が思いやられます。