2024/08/23

サラリーマンの知らない世界

 Cafe & Library 構想も、最初は月10万円の家賃を払ってテナントを借りるようなことを考えていました。しかし、少し考えただけで、それは自分が本当にやりたいことから外れていると思い、固定費が出来るだけかからないようにとか、初期投資の回収を考えないとか、商品経済の枠組みから離れる方向に考えが向かって、何なら Cafe & Library は週3日の営業で、残りの日はアルバイトをして生活費を稼ぐとか、午前中は別の仕事をして、昼から開館するとか、60歳からの自分の生活全体の中で Cafe & Library をどう位置づけるのか、というようなことを考えるようになりました。通信教育のテキストでは、オーナーがカフェ専業で経営を成り立たせるということが前提になっていますが、この辺りの事情は、私の場合、かなり特殊です。

 ところで、自分では図書館だと言っていても、表向きは飲食店の体ですので、いろいろな許認可や届け出が必要です。テキストの中で言及されているのは、保健所、消防署、人を雇うなら労基署、職安(雇わないので要りませんが)。夜にアルコールを提供するなら公安委員会(これも私には関係ありませんが)。そのほかに、税務署への開業届だとか、青色申告承認申請書だとかいうものが書かれていました。テキストには書かれていませんが、消費税の適格請求書発行事業者の登録申請手続なんていうのも、場合によっては必要です(私の場合は任意ですが)。

 初期投資を回収するつもりはないのですが、税法上は、初期投資の大部分が減価償却の対象となって、毎年の収益を圧迫します。つまり、そこそこの売上があったとしても、減価償却費で毎年の事業所得を赤字にしてくれます。それは、年金所得やアルバイトの給与所得から差っ引くことができて、所得税や県民税、市民税の額を小さくしてくれるだけでなく、健康保険料や介護保険料の負担額も減らしてくれます。もともと赤字なのですから、別にそれで何か得をしているわけではないのですが、収入は限られているのですから、払わなくていいものまで払う必要はありません。

 そして、どうもその恩恵に預かるには「青色申告」というのが必要で、そのためには複式簿記で帳簿を付ける必要があるようです。おっと、サラリーマンをやっているうちは青色申告なんて縁はなかったけれど、複式簿記なら少しは分かります。テレビでも、いろんな経理ソフトのCMを見ますが、1日の売上が5千円で年間150日しか営業しないような店なら EXCEL とかでは出来ないのかしら? 『EXCEL で出来る! 青色申告徹底ガイド』みたいな本が市井にあるのかしら? 税金を払うためにすることとはいえ、いままでやったことがないことをするのは、なんとなくワクワクもします。60歳になっても65歳になっても、サラリーマンしかやっていなければ知ることのない世界ですが、世の中の仕組みとしてはものすごく基本的でポピュラーな世界。そう思えば、ちょっと楽しんで出来そうに思います。


2024/08/22

売上予測

 カフェ開業のための通信教育を受講しているのですが、テキストに書かれている、売上予測の例は、かなり甘いように思えます。書かれている例のひとつが、女性オーナーが(テキストにわざわざ「女性」と書かれています)ひとりで運営するカフェの例。店舗面積8坪で席数10席は妥当なところ。そのうち8席を、午前10時から午後5時までの営業で3回転ほどさせて、1日の来店者数20~30人。客単価をどれぐらいに設定するかにもよりますが、1日の売り上げは2~3万円ぐらいでしょうか。別のページには、売上原価は売上の3割、家賃は売上の1割以内、なんてことも書かれていますから、女性オーナーがひとりで運営するカフェを経営として成り立たせるには、家賃が月5万円ぐらいの物件を探さないといけません。1日に20~30人の来店が見込める立地でその家賃はあり得ませんから、テキストに書かれている事例でもすでに経営が破綻している。それぐらいカフェの経営というのは難しいのでしょう。

 自分もこれに倣って売上予測をしてみます。

 当分の間は週3日の営業。残りの日はどこかに勤めて、とりあえず生活資金は確保します。1日の来店者数は5人。これでも、週に1回この店に来てくれる人が15人もいるという想定ですので、かなり強気の想定です。実際にはひとりもお客さんの来ない日もあるはず。そこを1日5人として、客単価を1千円とすると、1日の売上は5千円。最低賃金でアルバイトをすれば、この倍ぐらいのお給料がもらえますから、カフェの経営なんて割に合いません。1ヶ月の売上は6万円。食材の仕入れはその3割で2万円、物件は買切りなので家賃は払わないとしても、給水光熱費が2万円ぐらい。それに図書館なので本の仕入れが1万円ぐらい。事務用品や台所洗剤も必要ですから、利益はほとんど出ません。添削レポートに書いて提出したら、「もっと集客を考えましょう」とか「客単価を上げる工夫をしましょう」とか「図書の仕入れなど収益に結び解かない費用は最小限にしましょう」とか、いろいろ赤字で書かれるんでしょう。でも嘘は書けません。

 ただ、こんなカフェでも続けていれば来店していただける方も増えていきます。開業5年目からは晴れて年金ももらえますので、アルバイトもしなくてよくなり、週5日の営業ができるとなると、月20万円ぐらいの売り上げを見込んでもいいかもしれません。これでやっと、テキストに書かれている「女性オーナー」のお店の10日分の売上ですね。これでも、家賃を払わなくていいとか、初期投資資金を回収しなくていいとか、そういう条件なら運営できます。

 もともとカフェをやりたいのではなく、私設図書館を作りたくて始めた構想。もっと突き詰めれば、自分にとって居心地のいい場所をつくるということが前提にある訳ですから、これで生活していこうとか、商業的に成功しようとか、そういうことではありません。5年後に月20万円の売上なんて上等じゃないかとも思うのですが、そこを目指しているわけでもありません。とはいうものの、給水光熱費だとか固定資産税だとか、そういうものは、売上がゼロでも掛かってきます。自宅でやるわけではないので、私の交通費も必要です。せめてこれらをペイするための売上がないと、カフェとしても図書館としても続けることが出来ません。

 そう考えると、週3日の営業でも毎日5人の方に来ていただけるような立地だとか宣伝だとか、その5人の方に平均1千円を使っていただけるようなメニュー作りだとか、サービスの提供だとか、最低のラインがどの辺なのかを知らないといけません。そういう意味では、この通信教育も無駄ではないように思えます。


2024/08/21

開業計画書

 夏休みの課題だと思って取り組んでいる通信教育。コーヒーの種類や産地、淹れ方、ラテアートの作り方などの章が終わって、いよいよカフェを開業して経営していくというところの勉強です。

 最初に、「マーケティングの基礎知識」と称して、商学部の1年生の入門科目の授業のような章が設けられています。如何に競争に負けないか、如何に稼ぐか、儲けるか、という話なのですが、競争する気も稼ぐ気も儲ける気もない身としては、「ちょっと違うんだけどなぁ」という印象は拭えません。どこにもないような価値を作りたい、という思いは持っているのですが、それに「差別化戦略」という名前を付けた瞬間に、どこにでもあるようなものになってしまう。それも「こんなことを考えているのは自分だけじゃないんだ」と思うと励みにもなるのですが。

 ともあれ、「開業計画書」を作るという課題があるので、作ってみました。

 まず「開業のきっかけ、経緯、技術、事業の特徴などの要点」を書きましょう、ということなので、こんなふうに書きました。

個人宅を私設図書館として開放されている事例に倣い、より来訪しやすいように、カフェを開業してそこを私設図書館にしようとしている。飲食店に関する経験はないので、できるだけメニューを絞り、そこに特化して技術を習得する。グループやカップルでの利用ではなく、ひとりで利用することを想定し、本を読んだり、仕事や勉強がしやすい店内環境を維持したい。シートチャージを導入して、ひとり2~3時間の滞在を想定した店づくりをする。

 この段階で儲かりそうにはありませんね。私が添削する立場だったら、グループやカップルで利用できるような店づくりを勧めます。客単価が同じでも、グループ客ならひとり客の数倍の売り上げになるし、カップルでも2倍になります。座席は短時間で回転させる方が収益率が高いし、デザインはお洒落でも座り心地はあまり良くない椅子で、1時間も座っているとお尻が痛くなるぐらいがいい。そんなアドバイスをすると思うのです。でも、私にとっては収益よりもコンセプトが大切なので、ここは譲れません。

 テキストには「立地条件が重要な場合は、その立地を選んだ理由にも触れましょう」とも書かれています。立地条件は重要です。

ひとり客で長時間の滞在を想定しているため、駐車場を用意するとかなりの広さが必要になる。駐車場を用意しなくてもよい、駅からの徒歩圏であることが必要。特徴的な店舗運営のため、通りがかりに偶々入店する一見客ではなく、遠くからでもわざわざ来店してくれる方を歓迎したい。そのために、人通りの多い商店街ではなく、住宅地の中にポツンとあって、知る人ぞ知るような場所になることを目指したい。

 これも、このまま添削レポートに書いて提出すると、さんざん赤字で「お直し」が入りそうですね。稼げなくても、毎月赤字になることだけは避けたいのですが。

 あと大事なのは開業資金についての計画なのですが、実はここがいちばん悩ましいところ。ため込んだおカネにも退職金にも、妻という鍵が掛かっていて、この鍵を開けるのがたいへん。結婚当初から家計を妻に預けっぱなしにしていると、こういうことになってしまうのです。この鍵の開け方はテキストにも書かれていません。


2024/08/20

夏休みの課題

 すべての大学職員がそうではないかもしれないが、大学職員という職業の夏休みは、世間に申し訳がないほど長い。この休みを使って、カフェの開業に向けた勉強をしようと、通信教育に申し込みました。教材を送ってきて、添削課題を解き、最後に試験と称するものを受験すると、資格証が送られてくるというもの。いわゆる「資格ビジネス」というやつなのかもしれません。「商品」として考えたときには割高なサービスなのかもしれませんが、何から勉強したらいいのか分からないというときの「きっかけ」みたいに考えると、ちょうどいいかもしれません。

 実は他にも「美味しいコーヒーの淹れ方」みたいな本はいくつか買っているのですが、ゆっくり読みたいと思っていると、なかなか読み始められなくて、「積読」状態になっていました。それが、通信教育のテキストを読み進めながら、その事項に関係ありそうなところだけを拾い読みするような感じで、いちおうページを開いてみるきっかけにもなりました。例えば、コーヒー豆の種類や産地について、テキストに書かれていることをノートにまとめながら、別の本にはどう書かれているのかを調べてみる。エチオピアのコーヒーについて、テキストには「栽培方法が3種類ある」というようなことが書かれているのですが、別の本には、隣国イエメンのモカ港から出荷されるのが銘柄の名前の由来になっていることや、「上品な酸味」「華やかな芳香」というようなことが書かれている。別の本には「きれいな酸味」「芳醇な香り」などと書かれている、といった具合に、文章からだけでもより立体的なイメージが湧いてくる感じがします。電車の中で読んでいるだけでは、なかなかこうはいきません。

 煎り方や挽き方によって味が変わるのは知ってはいたのですが、煎っている間にどんな化学反応が起きているのかとか、それが味にどう影響するのかといったことは、本を読んで初めて知ったことでした。抽出する器具の違い、水の違い、お湯の温度、抽出する時間と味の関係、食器と味の関係、そういういろんなことが、テキストを読み進めることで、自分の中で言語化されていきます。それで実際に飲んでみると、自分の五感で感じる感覚と言葉がつながって、「美味しいコーヒーとは何か」というようなことが見えてきそうに思うのです。

 ただ、最後の「美味しい」という感覚を本当に言語化できるのかというと、そこはどうなのかと思うところもあります。ある人が美味しいと思ったものが、他の人にとっても美味しいのかというと、必ずしもそうとは言えません。ある時に美味しいと思ったものを、別のときに美味しいと感じるかと言えば、それもどうだかわかりません。酸味が強い、苦味が強いといった感覚は、なんとなく言語化できるのですが、「酸味と苦味のバランスが取れた、コクの深い味わい」と言われると、果たしてそこから特定の味わいをイメージすることが出来るのか。いや、これは簡単にイメージできないからこそ、飲んでみる価値があるのかも知れませんが。

 テキストは、エスプレッソコーヒーの淹れ方やラテアートなど、最近のカフェの傾向を捉えて、多くの人が関心を持って取り組めるような内容になっています。通信教育でなければ読み飛ばしてしまうのですが、資格を取得するためにはそういう知識も必要なので、そこも真面目に読んで、真面目にノートを作る。ただ、他の本と併読するようなところまでは熱心には取り組めてはいません。こういうことも、とことん取り組めば面白いと思うのですが、実際に店を構えてサービスを提供するとなると、自分一人でできる範囲を見極めないと、自分が苦しくなります。苦しんで営業しているカフェに来れば、来られる方も苦しい気持ちになってしまいますよね。そこは資格を取るための勉強と割り切って、そこそこに終わらせることにしました。