そんな青臭いことを言う歳でもないのですが、自分が何をしたいのかを確かめるために、島根県隠岐郡海士町への旅に出掛けました。
このブログで何度かご紹介している海士町は、私が私設図書館を作ろうと考えたきっかけを与えてくれた島です。毎年秋に開催される「図書館総合展」で、かつてこの島の「島まるごと図書館」が Library of the Year に選ばれ、当時、図書館の職員をしていた私が興味を持ってこの島を訪れ、個人のご自宅を町の図書館の分館として開放されておられる方に巡り合い、そこから、いつか自分もこんな図書館を作りたい、と考えるようになったのです。この島のことは、つい先日、NHKの有名番組でも取り上げられたのですが、あの番組のストーリーなんかでは説明できない魅力を持っている島なのです。ただ、その魅力が何なのか、当時の自分には理解しきれてはいませんでした。
定年が近づき、定年後の生活が現実味を帯びてくる中で、転職サイトへの登録などをして、本格的に再就職のことを考えるようになったのですが、どうもしっくりこない。そこで、そうだ、いつか作ろうと思っていた私設図書館を、いま作ろう、と Cafe & Library 構想が始まり、カフェ学校の説明会にも行ったのですが、それも何かが違っていて、とても「しんどい」状態になり、これも何度かこのブログで「彼岸の図書館」として紹介している奈良県の私設図書館を訪ねて、そこで少し展望が開けてきたので、このブログを始めた。←いまここ。というのがこれまでの展開でした。
さてさて、彼岸の図書館のFacebookをフォローしていると、そこを運営されている青木真兵さんという方が、海士町でトークイベントをされるという記事を見つけました。これは自分にとっては通過儀礼のようなものかもしれない。そう思って、宿をとり、フェリーの予約をし、有給休暇を1日取って、はるばるこの島に渡りました。3年前にお世話になった図書館の館長さんとも、彼岸の図書館を運営されている青木さんとも、イベントに参加された方とも親しくお話をさせていただいたり、あるいは励ましていただいたりして、元気をいただきました。
金曜日の仕事が終わってから、高速道路を5時間走り、港の手前で1泊。翌朝フェリーにクルマを積んで、お昼を少し回ったところで島に到着。港近くの食堂で昼食をとると、レジのところにトークイベントのフライヤがある。店員さんに「これ聞きに来たんです」というと、「私も聞きに行きます」とのこと。図書館の分館にもなっている島の交流施設で本を読んでいると、館長さんが青木さんをアテンドされて見学に。先にここにおられた方に声を掛けておらるのですが、どうやらその方も今日のイベントに参加される方のよう。行く先々で参加者に合いますね、などと仰っておられる。
初夏の長い日が傾くころに図書館に行くと、次々と参加者が集まってこられる。その数ざっと40人。人口2,000人の島だから、島の人口の2%が集まってきている。人口30万人の大津市に例えたら6千人に相当する人数。びわ湖ホールにも入りきりません。これはすごい。これだけでも、図書館がこの島でどれだけ重要な位置づけかが分かります。
トークイベントでも話題になったのですが、この島は、島全体がアジール。資本主義の価値観や東京の基準では測れないもので動いているのではないか。それも、もしかすると、島の中でも移住者のコミュニティに限られているのかも知れませんが、移住された方が、何か経済的な成功を夢見てやってくるわけではないように思えるのです。そこが「彼岸の図書館」にも、あるいは自分がやろうとしている Cafe & Library にも共通しているのではないか。そういう意味で、この島で青木さんの話を聞くというのは、自分にとってとても意義があると思うのです。
青木さんのお話を聞いたり、青木さんの書いた本を読んでいると、自分がなんとなく思っているのだけれどうまく言葉にできないことが言語化されて言い当てられている。きっとここに集まっている人たちの中にそう思っているは大勢いそうなのです。こんなふうに考えるのは自分だけではない。自分が住んでいる街からほぼ1日かけて行った先には、自分と同じように考えている人がこんなに大勢おられる。そんな実感を得られたイベントでした。
今日から何回かにわけて、海士町のことやら、青木さんのトークイベントのことなんかを書き綴ろうと思います。
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