2025/06/02

ポジションを取る

 勉強会と銘打って、すでにカフェを経営されている方のお話を聞いて、やはり気になるのは、本当に収支が取れるかということ。あまり気にしたくはない、というか気にしている素振りは見せたくはないのですが、素通りするわけにもいきません。京都のマスターさんは、開業したときに「ぜったいに売れるという不思議な自信があった」と仰います。「1日4~5人しか入店客がいないときでも平気だった。ただ、それを上回るのが世間」。きっと入店客ゼロが何日か続くこともあったのでしょう。「でも、このやり方で間違いないと信じるしかない」。そこはなかなか潔い。「ダメだったら生活保護でも受けて食べ繋ぐ」。まあこのあたりの考えは、5年先には厚生年金をもらえるとおもって妙に余裕をかましている自分と変わらないのかも知れません。

 京都のこのカフェは、週3日しか開いていません。私は以前にこのブログで、奈良県東吉野村で私設図書館をされている青木真兵さんの言葉を借りて、生活の糧を得るために何か仕事をしつつ、でも本当は図書館の館長とかカフェのマスターというような二重生活もわるくないというようなことを書いたことがありますが、このマスターさんはカフェを休んでおられる間に他の仕事をして収入を得られているわけではないそうです。仕事ばっかりしていると、新しく自分にインプットされてくるものがなくなって、アウトプットが枯れてしまう。だから、店を開けていない日はインプットの日なんだそうです。これは、この2月の勉強会のあと災害級の繁忙期で私生活を失ってしまった今となっては本当によくわかります。4月も後半になって、少し仕事が落ち着いて時間が出来ても、しばらくこのブログの更新はできませんでした。書こうとしている内容は2~3か月前のことですからネタとしてはあるのですが、文章が思いつかないのです。やはりインプットがなければアウトプットはできない。銀座のホステスさんは新聞を何紙も読まれると聞いたことがあります。自分のお店を開くということは、お店の開いていない日も店長さんなんですね。いろいろ考えさせられました。

 実は京都のこのカフェ、最近、営業日数を減らされたのですが、売り上げはかえって増えているのだそうです。「いつでも行ける」というより「今日行かなければ」と思わせるところがポイントみたいです。私も先日、取らなければいけない休みがあって、このカフェの営業日を調べて、それに合わせて休みを取りました。お客さんの生活の中で、このカフェに行くことのプライオリティを上げる。例えば、店が営業している日を中心にお客さんが計画を立てる。そういうことを称して「ポジションを取る」ことが大事だと仰るのです。

 ちなみにこのカフェ、会員制に移行したときに、コーヒー1杯が520円から800円に値上げされました。けれど入店客数は減らなかったそうです。客の立場で言わせてもらえば、誰もこのカフェに行って値段を計算しながら注文なんかしていないんですけどね。

 スタバとコメダとタリーズが並んでいたら、どこにしようかなと迷うかもしれません。けれど、京都のこのカフェの隣にスタバがあっても、そこに入ろうとは思わない。たまたまマスターさんが風邪か何かで臨時休業になっていたとしても、このカフェを目指してやってきたお客さんが簡単にスタバに流れる訳でもないように思うのです。そういう価値が「ポジション」なんじゃないかと思うのです。「本の庵」にもそういう価値ができるといいのですが。


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