不動産屋さんからの奨めで、市役所に隣接する消防署の「予防課」というところを訪ね、開業についての相談をしてきました。保健所以上にこと細かく、この場合はこうする、というようなことが決められている印象で、分厚い冊子を読みながらの説明だったのですが、とても親切に対応してくださいました。
まず、不動産屋さんからもらった物件票に「建物面積50.46㎡」と書かれているところをご覧になって、これ本当に50㎡ありますか、とのこと。いや自分で測ったわけではないので「本当に」といわれると自信はないですが、ここに書かれているのだからたぶん50㎡をちょっと超えるぐらいだと思います、と答えると、この「ちょっと超えるぐらい」というのがとても大事なんだということでした。聞いてみると、床面積50㎡以上の飲食店を開業する場合は「防火対象物使用(変更)届出書」の提出が必要だけれど、50㎡未満であれば必要でない、とのこと。届出の際には床面積を算出した根拠となる「求積図」というものが必要なんだそうで、それで50㎡未満であれば届け出の必要はないとのことなのです。これど、物件票に50.46㎡って書かれているので、今日のところは50㎡以上という前提でお話ししますね、ということで詳しい(かなり詳しい)お話を聞かせてもらいました。
まず、公共の施設だとか、ちょっと大きな飲食店なんかでは必ず見る誘導灯。人が逃げるアイコンで非常口を示す緑色のランプみたいなやつのことです。これは床面積に関係なく必要で、火災が発生し停電した際に避難路を示すものなので、誘導標式ではなく、電灯の付いているものでないといけないのだそうです。小さいカフェなんかだとついていないところもありそうに思ったのですが、必要なんだそうです。それに、年1回以上の点検が必要。電気設備士の方にお願いする場合が一般的だけれど、自分で点検しても構わない。なんとなくクルマの法定点検みたいですね。店舗面積が50㎡以上であれば、点検結果の報告も必要なんだそうです。
都市ガス器具で熱センサーの付いていないものを使用する場合は、10型以上の消火器が必要。家庭用ガスコンロの場合は、空焚きなどの異常過熱を検知するとガスを止める機能がついているものが多いけれど、業務用コンロを用いる場合はそれが付いていないものが多いので、注意してほしいとのことでした。熱センサー付きのコンロやIHヒーターを用いる場合は、消火器設置の届け出はいらないけれど、設置を推奨しているそうなので、どのみち消火器は置くことになりそうです。ただ、消火器の設置が義務となる場合は年1回の点検と、点検結果の報告が必要となるので、面倒と言えば面倒。専門の方に点検してもらうとなれば費用も発生します。
火災報知器は不要。これはもっと大規模な施設の場合だけのようです。
絨毯、カーテン、ロールスクリーン、暖簾などの布製品については、防炎である必要があるとのこと。
それと、初めて聞く言葉なのですが「むそうかい」と「ゆうそうかい」では規制が異なるのだそうです。その階に窓があるかどうか。「無窓階」「有窓階」という字を書くのだそうです。無窓階の場合は消火器が必要。有窓階とするためには、幅750㎜高さ1200㎜以上、または直径1mの円を内包する大きさ以上の窓が2箇所以上あり、床面積の1/30以上かつ1.7㎡以上の開口部が必要。この基準を満たしているかどうかは、立面図や部材の仕様書で示してもらうのが原則なのだそうですが、写真を撮って寸法を書いてもらうことでも代用できるとのこと。このあたりは少し緩くて助かりそうです。開口部は、火災の際の避難路であると同時に、消防隊員の突入口となる必要があるため、アルミドアや一定の厚み以上の強化ガラスの嵌め殺し窓などは開口部とは見做されない。フロートガラスは厚さ6㎜以下、強化ガラスは5㎜以下などの基準があり、針金入りの場合は実際の面積の半分を開口部とするなど、細かく規定されているとのことです。こういう規定は、消防局のある市町村ごとに定められているらしいのですが、大津市の場合は、自分の市では決めずに、お隣の某政令指定都市の「消防用設備等運用基準」を準用しているとのこと。ちょっと隣町に負けたような感覚ですが、そんなものでもないのでしょうか。
この物件は、北側に玄関があって南側に掃き出し窓があるのですが、この掃き出し窓を避難用の開口部とするには、そこから玄関前の石段まで、幅1m以上の避難路を確保しなければなりません。おそらく開業後に来られた方は気が付かないと思いますが、この建物の東側には物置が増築されていて、避難通路を塞いでいます。これは撤去する必要がありそうです。
気になったのは、この物件が軽自動車がやっと入れる袋小路の奥にあって、消防車の侵入に支障があることだったのですが、これは許認可には影響しないとのこと。近くの消火栓付近に消防車を停めて、そこからホースを延ばして消火するので問題ないとのことでした。
最後に、「防火対象物使用(変更)届出書」の用紙と記入例、記入の手引きをいただき、50㎡未満であっても、実際の改装をされる前に、図面を示していったんご相談いただくと良いとの助言をいただいたのですが、そのときに「お店をされるのですか。羨ましいです」と仰る。励ましていただいたようで心強く思いました。